PMは、目立たない仕事だとよく言われます。
でも、それは少し違うと僕は思っています。
目立たないのではなく、PMは「作業者」じゃないから、貢献の形が見えにくいだけなんです。コードを書くわけでも、資料を仕上げるわけでもない。専門性を持つ人たちの”あいだ”に立って、翻訳して、判断して、詰まりを取り除く。成果物を直接生み出す代わりに、成果物が生まれる状況そのものをつくる。誰にでもできる仕事ではありません。
僕は、マーケティング、海外営業、SCM、商品企画、PMと、複数の職種を渡り歩いてきました。特定の道を長く極めてきたわけではありません。だからこそ見えることがあります。目立たない仕事で結果を出し続けるために、大事にしている考え方が4つあります。
1. 「目指す」と「やり遂げる」は、まったく別物
計画を立てる。戦略を語る。目指す姿を描く。ここまでなら、実はそんなに難しくありません。
本当に難しいのは、いくつもの困難を乗り越えて、実際にゴールまでたどり着くことです。途中で計画は何度も崩れるし、想定していなかった問題も必ず起きる。それでも投げ出さずに、最後までやり切る。
目指しただけの人と、実際にやり遂げた人の間には、埋めがたい差があります。やり遂げた人にしか見えない景色があるし、そこでしか手に入らない自信がある。PMという仕事の本質は、この「やり遂げる」を、自分一人ではなくチーム全体で成立させることにあると思っています。
2. 型を守るな。目の前を見ろ
正しいメソドロジー、いわゆる「型」さえ覚えれば仕事はうまくいく。最初はそう思っていました。
でも現場を重ねるほど、それは幻想だと分かってきます。プロジェクトは、一つとして同じものがありません。クライアントが違えば、求めるものも、優先順位も、進め方の常識も違う。型に合わせて現場を動かそうとすると、必ずどこかで軋みます。
大事なのは、型を守ることじゃない。実際に物事を前に進めること。型は、あくまで道具です。現場ごとに違う「言葉」があり、型を一つ覚えて満足するより、その場の言葉に呼吸を合わせるほうが、よほど価値が高い。
3. 力を入れるべきは、はじまりと終わり
プロジェクトのしんどさは、実は真ん中にはありません。
一番労力がかかるのは、最初に関係者全員の合意を取り付けるところと、最後にきちんと締めくくるところです。始まりで握りが甘いと、後で必ずやり直しが発生する。終わりで学びを言語化せずに終えると、次のプロジェクトでも同じ苦労を繰り返すことになる。
多くの人は、真ん中の「作業」に一番力を入れます。でも本当に差がつくのは、誰もが気を抜きがちな始まりと終わりに、どれだけ丁寧に向き合えるかだと思っています。
4. 機会は、実力だけでは転がり込まない
一つの案件が終わってから、次が始まるまでには、大体1〜2ヶ月の空白があります。この空白を短くできるかどうかは、実力の証明以上に、次の機会を割り振る人とどれだけ良い関係を築けているかに左右される。
実力を磨くことと、人間関係を育てること。キャリアにおいて全く別のスキルなのに、多くの人はどちらか一方しかやっていません。
今、目の前の仕事を疑うなら
もし今、正当に評価されていない気がするなら。この四つを、自分に聞いてみてください。
- 目指すだけで満足していないか。困難を越えて、実際にやり遂げようとしているか
- 型通りにやることに満足していないか。目の前の相手が本当に求めていることに、言葉を合わせられているか
- プロジェクトの真ん中にばかり力を注いで、始まりの合意と終わりの締めくくりを軽く扱っていないか
- 実力を磨くことにばかり時間を使い、次の機会をくれる人との関係を後回しにしていないか
仕事の本質は、型でも実力だけでもない。困難を越えてやり遂げること、そして目の前の相手と同じ言葉を話せるかどうか。結局は、そこに集約される気がしています。