技術部門のある社員が、環境対応のための出張申請を却下されました。

一見すると理不尽にも思えた出来事。

でも、その後に技術部門の同僚と交わした会話から、「伝える」とは何かを改めて考えさせられました。

目次

「販売への影響は?」という質問

ある日、技術部門の社員がこんな話をしてくれました。

環境対応のための出張申請が、事業責任者から差し戻されたそうです。

理由は、一つの質問でした。

「販売への影響は?」

最初は違和感がありました。

環境対応の出張なのだから、その質問は少し的外れではないか。

そう思ったからです。

でも、その場にいた技術部門の同僚は、違う見方をしていました。

人は、自分の責任で判断する

その同僚は、こう言いました。

「その質問は当然だよ。」

事業責任者は、環境対応の重要性を軽く見ているわけではありません。

コンプライアンスは当然守るべきものです。

その一方で、

「対応しなかった場合、経営にどんな影響があるのか。」

それも同時に判断しなければならない立場にあります。

つまり、質問が間違っていたわけではありません。

立場が違えば、意思決定に必要な情報が違う。

それだけのことでした。

その瞬間、コミュニケーションの本質を一つ理解した気がしました。

説明ではなく、意思決定を助ける

その同僚は、もう一つ印象的な話をしてくれました。

忙しい役員は、

10分前まで品質の話を聞き、

5分前には納期の話を聞き、

その次には環境対応の話を聞いています。

まったく違うテーマを切り替えながら、次々と意思決定をしている。

だから大切なのは、長く説明することではありません。

まず、

「今日は何を判断してほしいのか。」

それを最初に示すこと。

そして、質問には聞かれたことだけ答えること。

説明の量ではなく、

相手が判断できる状態をつくること。

それがコミュニケーションなのだと思いました。

相手の世界から話し始める

この出来事以来、僕は説明をするとき、一つだけ意識するようになりました。

この人は、何を判断する責任を負っている人なのか。

営業なら、販売や利益。

調達なら、在庫や納期。

品質なら、品質リスク。

経営者なら、事業全体へのインパクト。

同じ事実でも、相手によって求める判断材料は変わります。

だから伝える内容を変えるのではありません。

相手が判断しやすい順番で伝える。

それだけで、コミュニケーションは驚くほど変わります。

Key Takeaways

  • 人は、自分が負っている責任の文脈で物事を判断する。
  • コミュニケーションの目的は、説明することではなく、意思決定を助けること。
  • 「何を判断してほしいか」を最初に示すだけで、話は伝わりやすくなる。

あなたへの問い

次に誰かへ説明するとき、

最初に考えるのは何でしょうか。

「何を伝えたいか。」

それとも、

「相手は何を判断する責任を負っているのか。」

コミュニケーションとは、話す技術ではなく、

相手の意思決定を助ける技術なのかもしれません。